コイル 『ROPELAND MUSIC』('99)
b0061611_3213882.jpgで、まぁそんな風に5年前の昔話をしてると、「…あっ!」。急に聴きたい衝動にかられたのがこのコイルの1st。早速探してみると、なんだかいつの間にかCD棚の奥の方に追いやられたけど、久しぶりに聴いたらこれがハマッたのなんのって。最近、直枝さんのソロライヴが続いて、いろんなところでそのライヴレポなんかを読んでいるうちに、僕も『HOPKINS CREEK』な気分になっていたので、そういう流れの中でこの作品を聴くとグッとくるわけです。



ここで、『ROPELAND MUSIC』と『HOPKINS CREEK』との共通点を少し。まず1つ目は、宅録だということ(“ROPELAND”とは綱島のことで、コイルのお二人が住んでる町)。2nd『オレンジ&ブルー』では宅録らしからぬスケールの大きさなバンドサウンドでそれはそれでめちゃくちゃ素晴らしかったんだけど、この『ROPELAND MUSIC』はいかにも宅録らしい箱庭サウンド。曲もほとんどが2分前後の小曲でそのサウンドにとてもよく似合っている。また、きっと緻密にマニアックに作り込まれてるんだろうけど、宅録特有の人肌の温もりで全然窮屈な気持ちにならないのもいい。そして、2つ目の共通点は、ビートルズ。コンセプトとして、コイル(特に、オカモトさん)は『ホワイト・アルバム』で直枝さんはポール・マッカートニーの『ラム』を意識したそうだけど、まぁそういうことを抜きにしても、自然と至るところの汗腺からビートルズのエキスが滲み出てきちゃっているような、そんな止められないビートルズ愛が微笑ましい。とりあえず、ポールに聴かせてみたい。きっと彼もニヤけちゃうはず。

全15曲41分05秒、見事にアナログサイズな『ROPELAND MUSIC』は、シリアスでダークなサイケフォーク「方舟」で幕を開ける。いきなり一筋縄で行かないオープニングだ。ジョン・レノンの曲からタイトルを拝借した「あ・い・す・ま・せ・ん」はちょっとだけホロッとする切ない夕暮れポップ。おそらくティーンエイジ・ファンクラブ好きのサトウさん作のパワーポップ「I think so 思う」。ビートルズ「~バンガロウ・ビル」なイントロが可笑しい「A SONG FOR 飯田」は、実際に飯田さんの結婚式のために書かれた曲だそう。欲望渦巻くハードなナンバー「COILの「欲望」」。爽やかに始まったかと思えば突如テープ逆回転ノイズでサイケにバースト「僕はスーパーマン?」。雨の音をバックに呟くように歌われる哀しいフォークソング「When she comes」(英語詩)。かと思えば、底抜けに明るい「とんとん拍子」でとんとんと進んで行く。美しくも儚いバラード「Flowers」と、ストロベリー・フィールズに想いを馳せるプー太郎のブルース「Plues」に涙。こいつの助手席には乗りたくないけど、すこぶるキャッチーなドライヴロックンロール「仮免マン」。床屋の軒先にある青と赤のクルクル回ってるやつマニアが主人公のヘンテコでお茶目な歌「クルクル フェチ」で大笑い。「ノルウェーの森」ならぬ「ノルウェーの木」(日本語訳としてはこっちの方が正しい?)は歪んだギターが炸裂する男気ナンバー。しょぼくれフォーク「とっとと」でホッと息抜き。そして、ラストは彼らのデビューシングルでもある名曲「天才ヴァカボンド」。泣き叫ぶように歌われる“バカでごめんね”、こんなに情けないフレーズなのにどうしようもなく感動的に響くのはなぜだ、なぜなんだ!?

…とまぁ、混沌としてます。まぁ『ホワイト・アルバム』みたいにモンスターではないけれど、なんだか放っておけない愛くるしい作品であります。いやもうビートルズとか『ホワイト・アルバム』とかはどうでもいいです、ポップな音楽が好きな人は機会があれば聴いてみてください。僕はA面に『HOPKINS CREEK』、B面に『ROPELAND MUSIC』を録音したカセットでも作ってみようかと思います。そして、ポールに送りつけてやろうと…やめときます。

※コイルはカーネーションの主催イベント「ムサシノ・コズミック・バスキングvol.4」('99/12)に出演してますね。なにやらコイル初の有料ライブ出演だったとか!?
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by kesuike6 | 2005-11-04 03:24 | ALBUM(SINGLE)
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