若林マリ子 『あふれる想い』('05)
b0061611_0381858.jpg若林マリ子さんのこの3曲入りシングルCD-Rは、1ヶ月前くらいに我が家にやって来ました。ちょうど『御堂筋横断』の直後で、いつにも増して男臭く汗臭い時期だったので、マリ子さんの歌は一種の清涼剤のように爽やかに響きました。心洗われました。それからもよく聴いております、ありがとうございます。

僕はマリコwithキュートのことは何も知らないけど、マリ子さんの歌を聴いていると、昔どこかで嗅いだことのある懐かしい香りが鼻の粘膜に触れ、不思議と緩やかに落ち着く。マリ子さんの歌声は伸びやかで透き通っていてかわいらしく(メリー・ホプキンを思い出したり)、メロディーは英国トラッドや童謡にも似た素朴ながらも繊細で柔らかくとても美しい。かと言って、何もかもが綺麗というわけではなく、どこかしら陰を感じる。それは孤独感だったり寂しさだったり悲しみだったり、人間誰しも持ち得るだろう切ない感情が音や言葉のところどころに滲み出ている。だからこそ、マリ子さんの歌は深く隅々まで心に染み入るのだろう。僕の中では、男女の違いはあるけど、エリオット・スミスを聴いている感覚に近いような気がする。

1曲目「あふれる想い」はポップで軽快だけど胸がキュッと締め付けられて仕方がない切ないメロディーが秀逸な名曲。西村哲也さんと夏秋文尚さんによる浮遊感のある瑞々しいサウンドメイキングも素晴らしいの一言。残りの2、3曲目はライヴバージョン。「リラのゆくえ」はマリ子さんの弾き語り、個人的に一番のお気に入り。優しくつまびかれるアコースティックギターの幽玄な響き、悲しげな歌声。決して明るくなく全体的に陰影のある曲だけど、僕は何故だかとても心地良くてα波が止めどなく出ているような気がする(おそらく僕は根暗なのだろう・笑)。あと、フェードインで始まるというのが、このテイクの幻想的な雰囲気にとてもよくマッチしていると思う、絶妙。「月と私の秘密」はマリ子さんの歌とギターにベースとパーカッションが加わった3人編成。マリコwithキュート時代の曲なのかな。跳ねるリズムに乗って、マリ子さんの歌声はますます伸びやか。それはまるで少し長めのスカートを風に揺らして草原を駆け回る少女のよう。夜の歌なのにね。

おっと、ここまで歌詞について書いてなかったけど。3曲とも、恋する女性の感情の微妙な揺れ動きが細やかに綴られていて、男の僕でもはっとさせられる瞬間が多々あったり。女性の気持ちが分かるという意味では、まだまだ僕は子どもです。しみじみそう思います。

※マリ子さんのお兄さんの若林忠宏さんは民族音楽家でシタール奏者で有名な方。タモリ倶楽部で民族音楽が取り上げられるときは、先生として必ず出て来られる方なので、タモリ倶楽部が週の一番の楽しみで毎回録画している僕にとっては御馴染みなのです。
[PR]
by kesuike6 | 2005-12-16 00:41 | ALBUM(SINGLE)
<< 2005年ライブ納め V.A. 『Another C... >>