Squeeze 『sweets from a stranger(甘い誘惑)』('82)
b0061611_14435897.jpg2006年が始まっても相変わらずスクィーズブーム沸騰中、相当参っちゃってます。一昨日、今年初のレコ屋巡りをしたのですが、やっぱり目に飛び込んできたのはスクィーズ『Some Fantastic Place』。そりゃもちろん買いですよ、そして、またしても最高ですよ!全身のポップのツボ突かれまくり、気持ち良すぎ。何ひとつ文句のつけようがない完全無欠のポップロック。マニアックなポップセンス、洒落た捻くれコード進行かつとびきりキャッチーなメロディー、歌心溢れるソウルフルなボーカル、確かな演奏力に裏打ちされた絶妙のバンドアンサンブル、グルーヴ感抜群のリズム隊、緻密で煌びやかなアレンジ、アナログを意識したサウンドとか、カーネーション(特に5人時代)に最も音楽的に近いバンドはXTCよりスクィーズだと思うのだけど、どうだろうか?



b0061611_1445013.jpgで、今回ピックアップするのは、その『Some Fantastic Place』、ではなくて、昨年末購入(アナログ盤)した『sweets from a stranger(甘い誘惑)』。この『甘い誘惑』は、以前取り上げた名盤『EAST SIDE STORY』の次の作品で、スクィーズ通算5枚目のアルバムになる。『EAST SIDE STORY』は、メンバーに名キーボード奏者で名ボーカリストのポール・キャラックがいて、あのエルヴィス・コステロがプロデュースし、内容も名曲に次ぐ名曲オンパレードという充実ぶり、キャリア最高傑作だと言っても誰も文句はないだろう作品だった。で、その後しばらくしてポール・キャラックが脱退、新たにドン・スノウを迎えて作られたのがこの『甘い誘惑』、前作に比べると正直地味なアルバムだ。でも、なぜだか妙に僕はこの作品に惹かれるものがあって、気付いたら何度も何度もリピートしているし、ひょっとして『EAST SIDE STORY』よりも好きなんじゃないかと思うほど。「Black Coffee In Bed」という代表曲はあっても、前作での一聴して名曲だと分かる曲は確実に減ってるのに…不思議。なんだろう、ジャケットも影で覆われてるけど、全体的に漂っているメランコリックなムードのせいなのかな。前作でやりきった感があったからか、はたまた、人気者がゆえの苦悩がそうさせたのか、どこか倦怠感を帯びた独特の憂いのある英国らしい曇り空サウンド。ビートルズで言うと『Beatles For Sale』、カーネーションだと『LOVE SCULPTURE』のあの感じというか。僕は意外とこういうの好きだったりする、根が明るくない人間だし(笑)。

A面1曲目「Out of Touch」のうねるベースライン、実にファンキーだ。こういうミドルテンポでじわじわ熱くなれる曲というのに僕はめっぽう弱い。一転して、疾走感溢れ軽快な「I Can't Hold On」では、終盤のドン・スノウのグルーヴィーな超絶ピアノプレイに悶絶。中期ビートルズ的気だるくも美しいポップス「Points of View」、こんなの好きに決まってるじゃない。ゴー・バック・トゥー初期ニューウェーヴ時代な変テコソング「Stranger Than The Stranger On The Shore」「Onto The Dance Floor」を経て、A面ラストの厳かなオーケストラをバックに従えたジャジーな倦怠バラード「When The Hongover Strikes」で大きく落涙。邦題が「二日酔いの朝」とはお見事、まさに二日酔いの朝の艶かしい浮遊感の中にいるような気分。レコードを裏返して、B面は問答無用の超名曲「Black Coffee In Bed」で幕が開ける。グレンのソウルフルな熱唱に心が震え、チャーミングなコーラスにニンマリ、静かに聴いてなんかいられない、気が付けばデタラメ英語で一緒に歌ってたよ。スクィーズの音楽はソウルの影響が色濃いポップロックだから、カーネーション同様、僕は大好きなんだと思う。そして、名曲にはきちんと優れた詩がついている。ノートについた別れた彼女のコーヒーカップの染みを見る度に、いちいちいろんな思い出が駆け巡りウダウダ言ってる情けない僕。そんなの真っ先に破り捨てればいいのだろうけど、たぶん出来ないんだろう。でも、なんか分かるよ、その気持ち(笑)。続く「I've Returned」で、佐野元春氏もきっと影響を受けてるだろう跳ねるピアノが印象的な痛快パワーポップに心踊る。が、すぐにゴージャスなオーケスラアレンジ再び「Tongue Like A Knife」でクールダウン、またもや夢心地な気分に。珍しくクリスが高音で歌っている「His House Her Home」は平熱のポップスというか、ドラマチックに盛り上がるサビは無くとも妙に心に引っ掛かる不思議な魅力のある佳曲。こういう曲にスクィーズの確かなソングライティング力を強く感じる。ソフトサイケなコーラスが奇天烈な「The Very First Dance」で頭がぼんやりし、そのムードを引きずったまま「The Elephant Ride」でちょっぴり切なくなってレコードの針が止まる。そして、また…。

※ちなみに、この『甘い誘惑』を発表した後、スクィーズはいったん解散することになる。
※スクィーズの歴史は、LIVE BEATのサイトがわかりやすいよ。
[PR]
by kesuike6 | 2006-01-12 14:46 | ALBUM(SINGLE)
<< aiko 『桜の木の下』(&#... 今日の逸曲〈2〉 >>