ヨシンバ 『042』('99)
徳永憲『スワン』もものすごく楽しみなのだけど、実は密かに今年一番期待しているのは“日本のフィフス・アヴェニュー・バンド(勝手に命名)”ことヨシンバの新譜である。前作『足りないもの』から3年ちょっと経ってしまったけど、メンバーのブログによるとようやくレコーディングに入ったみたいなので、おそらく今年中に新アルバムが出るのではないかと(マジお願い!)。前作のメンバーからオリジナルメンバーが2人脱退、現在4人体制の新生ヨシンバ。果たしてどういう歌をどういうサウンドを聴かせてくれるのか?あの鉄壁のハーモニーはどうなっちゃうのか?いやぁもう楽しみでならない。ここを見てくれてる方でヨシンバのことを知ってる人がどれくらいいるのか微妙だけど、新譜が出た暁には熱烈プッシュしようと思っている。

昨日本屋で音楽誌「THE DIG Vol.43」を立ち読みをした、シュガーベイブ特集だった。なかなか興味深い内容だったのだけど、その特集後半に“ジャパニーズ・シティ・ポップ究極の名盤50選”というのがあった。そこで選ばれている作品は、ほとんどがシュガーベイブの同時代のアーティストのものだったが、90年代以降の作品も数枚あって、カーネーション『Parakeet & Ghost』、benzoの2作、そして、今回紹介するヨシンバ『042』だった。さすがDIG、もちろん大納得のセレクション。

b0061611_1638223.jpg『042』はヨシンバの記念すべきファーストアルバム。にして、いきなり完成度のすさまじく高いシティ・ポップ集だ。彼らの音楽を聴いてまず思い出すのは、はっぴいえんど、はちみつぱい、シュガーベイブ、センチメンタル・シティ・ロマンスなどの都会の風を感じる70年代日本語ロックバンド。当時、同じような系譜にあるバンドとしてサニーディサービスという巨星がいたが、上っ面の質感だけでヨシンバを短絡的にサニーディの亜流だと決め付けるのはノンノンよしてもらいたい。かつての読売ジャイアンツで例えるなら、サニーディは4番サードで、ヨシンバは3番セカンド篠塚、同じユニフォームを着ていてどちらも素晴らしい才能があるけれど全くタイプが違う。細身でジェントルな篠塚はしなやかなフォームで華麗に渋く流し打ちを決める安打製造機、クールな打撃職人、ミスター燻し銀。そう、ヨシンバはまさに篠塚なのだ!と声を荒げてもなんのこっちゃ分からん例えなので、少しだけ具体的に。ヨシンバの音楽を強引に一言で表現してみると、“極上メロウなフォーキーソウル”だ。素朴でポップなメロディーを柔らかく丸みのあるグルーヴが包み込み、吉井さんの艶ややかで気だるいボーカルと穏やかな美しいハーモニーが彩りを添える。まずは試しに「多情なんです」「くもの糸」「帆を上げて」あたりを聴いてみてほしい、身も心もクリームシチューのようにトロトロにとろけるはずだ。僕の中で吉井功というボーカリストは、日本人で3本の指に入るくらい大好きで、彼の歌声はタイプは少し異なるかもしれないが直枝さんに匹敵するくらいエロチックだと思う。どんなに日常の些細なことを歌っていても、見える景色がどこか色っぽく、心の奥底からじわーっと熱くなって、体温が少しだけ上昇し頭がぼんやり気持ちいい。言うなれば、微熱ロック。ちょっぴり泣きたい人は是非。

  風が吹くと君は急ぎ足で歩きはじめて
  ふいに笑い都会の流れる様を追いかけるんだ
  ガラスのような一日は君にあげようか
  汗ばんで濡れたシャツを笑ってる
                  (「帆を上げて」)

※カーネーション「市民プール」「コズミック・シーのランチ・タイム」あたりが好物な人にオススメ!
[PR]
by kesuike6 | 2006-01-16 16:42 | ALBUM(SINGLE)
<< 今日の逸曲〈3〉 オフィス大都会ラジオ・第六回目 >>