コモンビル 『(この内容)C.O.A sessions』('01)
徳永憲、ヨシンバときたら、お次はやっぱりこのバンドでしょ、コモンビル!“さすらいのギター番長”玉川裕高さん率いる激烈カントリーロックバンド。残念ながら現在活動休止中だが、彼らが残した2枚のアルバムは間違いなく日本ロック史に残る傑作だと思う。ほんの一部の音楽マニアだけで盛り上がるにはあまりにも惜しいし勿体無いよ。今からでも全然遅くない、まだコモンビルを聴いたことないロックファンは今すぐ聴いた方がいい、マジで。あ、中には“カントリー”という言葉に引っ掛かる人がいるかもしれないけど、あまり拘らないほうがいい(むしろ、ロックに語気を強く置いてもらいたい)。確かにベースにはカントリーがあるけれど、そんなの一つの音楽要素に過ぎないし、本質的には、歌心がしっかりど真ん中にあるメロディアスな直球ロックンロールである。

b0061611_0563292.jpg『(この内容)C.O.A sessions』は、コモンビルの1stアルバム。この時のメンバーは、玉川裕高(vo, g)、“初恋の嵐”の西山達郎(vo,b)、海田亮(d,bongos)、村中靖愛(pedal steels,banjo)。全8曲、玉川さんと西山さんがそれぞれ4曲ずつ作詞・作曲・ボーカルを担当している。タイトルだけ見ても分かるように、哲学的かつユーモア溢れる玉川さん(「100人中99人」「敗北じゃないか!」「描くのは曲線のみ」「ひと粒」)、一方、文学的でナイーヴな西山さん(「睡眠」「オンリーワン」「夕方」「悲しいだけ」)、というように異なる作風が絶妙なコントラストになっていて不思議と絡み合い、起承転結、まるで一本の映画を観ているかのようなアルバムだ。

「100人中99人」は、1曲目にふさわしいスコーンと突き抜けた爽快感のあるポップチューン。僕なら、モラトリアム大学生が主人公の青春ドラマの主題歌に起用したい。2曲目「睡眠」は、タイトルそのまま、まどろみの中にいるようなスローでメロウなナンバー。ペダルスティールの妖艶でサイケな響きに夢心地…zzz。が、高速バンジョーが炸裂する小粋なカントリーソング「オンリーワン」であっという間に目が醒める。すると、今度は、ロンサムな弾き語りからヘヴィーな轟音ロックへなだれ込む「敗北じゃないか!」で頭蓋骨の奥底を揺さぶられる。カントリーと同レベルでハードコアを愛する玉川さんらしい曲ではないだろうか。引き続き玉川さん作の「描くのは曲線のみ」は、またガラッっと雰囲気が変わって、高田渡さんが書くメロディーにも似た牧歌的でほのぼのした曲…かと思いきや、後半一気に加速、エレキギターVSペダルスティールバトルが勃発!燃える。と、ここからは西山ワールド突入。まずは、ファンキーなベースラインと伊東ミキオさんの跳ねるピアノプレイがグルーヴィーで気持ちいい「夕方」。“夕方”を“You've Gotta”と歌う手法は、小坂忠「ゆうがたラブ」を思い出したりも。続く「悲しいだけ」は、言うなれば本を片手にメガネがずれるのも気にせず泣きながら疾走する青春パンク。“つまらん歌を紡ぎ上げてんだでも、泣き止むためにはそれしかないよでも、寿命がただ縮まるだけ”という歌詞は、やっぱりどうしても切ない。最後は、玉川さん渾身の名バラード「ひと粒」。僕の中で、泣かずにはいられない曲ベスト3に確実に入る。とにかく“一人と言うよりはひと粒に等しい”という名フレーズに男泣きしない奴とは、友達にはなれない。

  左右どちらに転んでも
  同じだというなら
  注目すべきは転び方
      (「100人中99人」)

これからもずっと大切な作品だ。
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by kesuike6 | 2006-01-18 00:59 | ALBUM(SINGLE)
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