くるり 『街/台風』('99)
b0061611_2465211.jpg僕は大学受験を失敗し予備校へ通うために京都で一人暮らしを始めた(→『さよならストレンジャー』より。この近くに住んでいた)。その年に、くるりはシングル「東京」でメジャーデビューした。「東京」は、確かNHK-FM「ミュージックスクエア」で聴いた(その前に『もしもし』の「東京」も聴いていた記憶もある)。スケールが大きくてセンチメンタルでちょっとアングラ臭が漂っていて、京都という街のことは頭ではまだよく分かってなかったけど皮膚感覚で何となく京都っぽい曲だと思った。当時まだ彼らは立命館大学在籍中だった(岸田氏の実家も近かった)し、ロッキンオンジャパンなどで見た彼らの姿は僕の住んでいたアパートを一歩出ればどこにでもいそうな冴えない大学生という感じで妙に親近感があった。くるりがパーソナリティーを務めていたラジオ番組も毎週チェックしていたし、カーネーション「なにか大切なものくれるかい」をリクエストしてかけてもらったことがある。くるりがいるから立命館に行きたいとも思ったけど、僕は京都の違う大学に入学した。間もなくして1stアルバム『さよならストレンジャー』がリリースされた。裏ジャケットを見ると京阪深草駅の写真、僕のアパートの最寄り駅から3つ目の駅で四条に遊びに行くときは必ず通るし、近くに友だちも住んでいた。そういえば、このアルバムのポスター(“すごいぞ、くるり”と書いてあるやつ)を部屋に貼っていたっけな。学園祭の軽音ライブで「東京」をコピーしているバンドがいたが、あれは正直聴くに堪えられなかった。大学2回生の時にサマーソニックで初めてくるりのライブを観た。ドラムス森氏のバスドラに強力なボディーブローを食らわされたのと会場はともかく個人的に「惑星づくり」が一番盛り上がったのを覚えている。今でもくるりは気になるバンドではあるけど、僕がくるりに熱を入れていたのはシングル『ワンダーフォーゲル』のカップリングの「ノッチ555」までだった。「ばらの花」という曲はポップすぎて人当たりが良すぎてあまり好きじゃなかった。なんとなくその辺りから京都っぽさが消えてしまったような気がして、京都に住んでいた僕は気持ちがちょっと離れた。



b0061611_1333084.jpg“こォ~のォ~まちわァ~ぼくゥの~もォのォ~♪”

いきなり思い切り顔を歪めまくりの熱き歌唱から始まる「街」は、そんな京都臭が漂っていた時代の名曲のひとつだろう。青春期に抱く悶々として鬱々としてなんとも説明できない焦燥感だったりもどかしい感情がマグマのように沸々と煮えたぎって爆発している。この尋常ではないテンションの高さはロックとしか言いようがない。“この街は僕のもの”というフレーズは後の『The World Is Mine』につながるわけだが、“世界”ではなく“街”に留まっているショボさが逆に生々しくてリアリティがあって好きだ。僕にとってはもちろん“京阪電車”というフレーズが出てくるのもグッとくるポイントである。

カップリングの「台風」はくるりらしいXTC直系捻くれポップナンバーで、これも僕のお気に入り。ピアノやマリンバのお間抜けな響きが聞こえてきたかと思うと、突如パンキッシュに暴れだしたり、まさに台風のごとくハチャメチャでお茶目な曲だ。と、ここでふと思ったのだけど、なぜだか僕は自然災害のタイトルを持つ曲に惹かれることが多い。ニール・ヤング「Like A Hurricane」、ボブ・ディラン「Hurricane」、はっぴえんど「颱風」、カーネーション「ハリケーン」、青山陽一「CYCLONE」、曽我部恵一「ストーミー」・・・。全くもって不謹慎な話だが、台風が来るときなんかは僕の心の中身は恐怖感半分ワクワク感半分だったりする、いや、むしろワクワク感が勝ってしまうことの方が多い。そういう感覚は、くるりの「台風」を含め今挙げた曲に共通しているような気がする。でも、やっぱり、出来れば自然災害は曲の中だけで起きていてもらいたいものだ。
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by kesuike6 | 2006-02-08 01:36 | ALBUM(SINGLE)
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