Marvin Gaye 『That Stubborn Kinda Fellow / How Sweet Is It To Be Loved By You』('63/'65)
b0061611_1512395.jpg電車通勤片道1時間もらい物のアイポッドシャッフル512MBフル回転大活躍、入れる曲は日々変わっているのですが、カーネーションの『LIVING/LOVING』の頭3曲だけはほぼ不動です。「やるせなく果てしなく」「春の風が吹き荒れているよ」「LOVERS & SISTERS」、そのフッと力が抜けた切なくもパッと明るいポップスは春という季節にピッタリ、電車の窓から見える何気ない日常もなんだか愛おしく思えてきます。とりわけ満開の桜並木の間をすり抜ける時に流れてきたりなんかすると、それはもう筆舌に尽くせない幸福ムードに包まれるのです。そして、この3曲を聴いていると僕は60年代のモータウンが無性に聴きたくなります。そう言えば「春の風が吹き荒れているよ」という曲、イメージはマーヴィン・ゲイ直系の60’sソウル風味と直枝さんは解説していますが、確かに「How Sweet It Is(To Be Loved By You)」に雰囲気が似ているのでした。



b0061611_1449951.jpgマーヴィン・ゲイと言えば『What’s Going On』、それは音楽好きの一般常識なのでしょうが、僕にとってはあの非の打ち所のない完璧すぎる構築美が逆に重荷で、なかなか手が伸びない作品でもあります。ゆえに、マーヴィンなら僕はもっぱらこれを聴くのです。1st『That Stubborn Kinda Fellow』(’63)と2nd『How Sweet Is It To Be Loved By You』(’65)をカップリングした2in1CD、若かりし彼の魅力がふんだんに詰まったお買い得盤です。

さぁ、それでは早速ディスクをコンポに挿入してみますよ・・・再生ボタンを押しますね・・・3秒後・・・(ドラム)ダッダッダッ(ホーン)ファーン!(女性コーラス隊)トゥトゥルワォー!(マーヴィン)セイイェーイェーイェー!セイイェーイェーイェー!!1曲目「Stubborn Kind Of Fellow」のイントロ、いつ聴いても瞬間湯沸かし器のようにあっという間に僕の身体中の液体という液体が沸騰、血わき肉おどるとはまさにこのことで、僕も思わずコンポのリモコンをハンドマイクにしてデタラメ英語で熱唱です。そうです、ここからはとにかくマーヴィンの歌、歌、歌。決して上手に歌おうとかカッコ良くキめようとかそういった邪念は一切無く、ただひたすらメロディーやグルーヴに身を任せて魂を精一杯込めて歌う、そんなあまりにあっけらかんとした歌いっぷりに自然と笑みが零れてきて、挙句の果てに涙が零れます。人間というのは大して洗練された生き物じゃない、でも、凄いパワーを秘めているんだよ、と彼の本能の歌は教えてくれている気がして生きる勇気と活力が沸いてくるのです。嗚呼、歌ってなんて素敵なのでしょう!なんて言ってるうちにまた泣けてきました・・・。

というように、とにもかくにもマーヴィンの歌唱に尽きるのですが、それを支えるバックの演奏(ファンク・ブラザーズですかね)も素晴らしいのです。これは彼だけでなく60年代モータウン全てに言えることなのかもしれませんが、決して難しいプレイをしているわけではなくシンプル極まりない演奏なのに、なぜだか物凄くゴージャスに響いてくるのです。リズム隊なんて実にさり気ない演奏なのですが、出てくるグルーヴはグイグイくるのだから本当に不思議です。一番長くて3分4秒ほとんど全曲2分台、時間的には1曲1曲あっという間なのですが、物足りなく感じることなんて全くない中身のギッシリ詰まった演奏、やはりポップスはこうでないと。お猪口一杯で気持ち良く酔えてしかも最高に味わい深い、これぞポップスの理想です(最近の愛読書、太田和彦著『超・居酒屋入門』の影響大)。

さ、今日は休日、少しでも英気を養って、明日からまた頑張りますか。もちろん通勤音楽はマーヴィンの歌です。
[PR]
by kesuike6 | 2006-04-08 14:52 | ALBUM(SINGLE)
<< 今日の逸曲〈14〉 青山陽一 『Broken Wo... >>