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若林マリ子+西村哲也+藤井貴子
若林マリ子+西村哲也+藤井貴子_b0061611_1747585.jpg若林マリ子西村哲也藤井貴子
2006/05/01(Mon)@京都・はちはち Infinity Cafe
START 19:30

当ブログで以前取り上げたことのあるそれは素敵なシンガーソングライター若林マリ子さんがついに関西にやってくる!ヤア!ヤア!ヤア!しかも、それは男前なシンガーソングライター西村哲也さんと共演だし、これは何が何でも行かなければ!ということで、行ってまいりました。



会場の京都「はちはちInfinity Cafe」は初めて行くところ、おまけに場所が非常にわかりにくいようなので、入念に地図で調べ準備万端出かけたのだけど、5年間京都に住んでいたことなんて何の意味もなさない極度の方向音痴の僕は思い切り迷ってしまった・・・。同じところをグルグルグルグル、こ、これはマズイ、このままだと地元の人たちに不審者だと思われること必至だったので、先に会場に行ってらっしゃったお姉さまOさんに電話、わざわざ迎えに来てもらうという何とも情けない結果に・・・トホホ。そんなこんなで何とか辿り着いた「はちはち」は、築90年の古めかしい民家を改造した、いや、改造なんてほとんどしていない家そのもの、玄関で靴を脱いで上がり、思わず「失礼します」と言ってしまった。これはもうお店に来たというより、完全に田舎のお爺ちゃんお婆ちゃんの家に遊びに来たという感じ、おそるべし京都。どうぞどうぞと通されたのは広さ十畳くらいの居間、縁側に演奏スペースが設けられている。どうしたらいいものかとなんとなくドギマギしつつ隅っこで正座していると、もう一人のお姉さまTさんが来られたのでホッとする。一緒に居間の左端にデンと据えてあるこれまた歴史のありそうな風合いの良い背の低い大きな食卓に陣取る。何やらこのお店はドイツパンが有名らしく、Tさんがブレッド&チーズを注文なさったので、僕も少し分けてもらう。どれどれ、ビール飲みつつ評判のパンを一口、う、うまいっ!!パンは決して嫌いではないけどめちゃくちゃ好きってことでもないのだが、このパンはホント驚くほど美味しくて感動した。どうやら僕はパンをちょっとみくびっていたようだ、やっぱり旨いもんは旨いのだ(当たり前)。と、そんな風に開演時間までのんびりと過ごしていると、お客さんの数も増えてきてワイワイ賑やかになってきた。小さな子どももいるし、ここは居間だし、なんだか法事か何かで親戚一同勢揃いって雰囲気、「あ、どうも、ご無沙汰してます。元気すか?」なんて言いながらみんなにビール注いで回ろうかと思ったり。ていうか、本当にライブ始まるのか!?

そこへトップバッターの藤井貴子さんが気が付くとギッシリのお客さんの間をすり抜け登場、真っ赤なドレスが眩しいのです。セッティングを終え、「じゃあ、そろそろ始めましょうかね?」ふんわりとライブが始まりました。藤井貴子さんは「はちはち」から自転車で(歩いて?)20分くらいのところ在住のそれはチャーミングなシンガーソングライター。僕は貴子さんのライブを観るのは今回初めてですが、お見かけするのは実は2回目でして。昨年末拾得での西村さんライブで客席(座敷)に一際幸せそうに楽しんでいる女性がいて、妙に印象に残っていたのですが、それが貴子さんでした。きっと心底歌が大好きな人なんだろうなぁというその時のイメージそのままのシンガーで、穏やかな表情で慈しむように歌う姿がとても魅力的でした。弾き語り歴一年ということでギターはまだぎこちなかったけど(初々しい!)、どこか母性を感じる優しい歌声は堂々としていて素晴らしかったです。ものすごい陳腐な表現で申し訳ないですけど、癒されました。あと、アカペラコーナー直前のMCで、この前は西岡恭蔵さんの歌(「時計台の夢」だったかな?)をアカペラで歌ったんですよ、とおっしゃっていて、ああ素敵だなぁと思いました。

続きましては、東京からようこそおいでくださいました、若林マリ子さん。僕はてっきりマリ子さん一人弾き語り、もしくは西村さんと二人でやるのかなぁ(1曲目は西村さんとのセッションでした)、なんて思い込んでいたのですが、お馴染みパーカッション熊谷太輔さんとベース田中啓介さんを加えてのトリオ編成だったので、ということは普段着のマリ子さんが観れるんだと思い、初めてとは言えリラックスして観させていただきました。客席には、GWということもあってか、東京のマリ子ファンもたくさん来られていたようで、地道なライブ活動で着実にファンを増やしている過程が垣間見れた気がして、僕は別にマリ子さんのスタッフでも何でもないんですが、なんか嬉しかったです。そりゃあねぇ、マリ子さんの歌を生で聴いたら誰だって惚れちゃうのです。じゃあ、僕がマリ子さんの歌に惚れる理由は何か?ってことなんですけど。CDなどでマリ子さんの歌を上っ面だけで聴くと、可愛らしくて繊細でか弱い少女っていうイメージを抱くのかもしれませんが、生で聴くマリ子さんの歌は実に力強くて太くて深いまさに大人の女性、かき鳴らされるギターもガッツに溢れていて、これが実はロックだったりするのです(「Sunrise」なんてパンクですよ)。もちろん可愛らしくて繊細な部分もあるのですが、それはずっと歌い続けてきたからこそのキュート、というか。僕はマリ子さんのそういうシンガーとしてのタフさにグッときて、カッコイイなぁと思うのです。とは言いつつ、MCなどではマリ子さんの腰砕けなトークにズッコケるのですが(笑)、まぁそんなギャップもまた素敵なんですけどね。で、そんなマリ子姉さんのズッコケトークに冷静にツッコミを入れるメガネコンビ熊谷さんと田中さんの演奏も非常にユニークで素晴らしいです。パーカッションの熊谷さんはありとあらゆる名前も知らない民族楽器をとっかえひっかえ、「on the grass」という曲では民謡まで歌っちゃうという、見てるだけでも楽しい芸達者ぶり、一方でベースの田中さんは黙々とでも実はノリノリでグルーヴを生み出し、唯一無二のマリ子ワールドを見事に演出しています。マリ子さんの音楽が面白いのは、イギリスやアイルランドなどの伝統的なフォークソングの香りとどこか懐かしい甘酸っぱいポップスがごく自然に融合しているところだと僕は思うのですが、この編成のライブだとフォークソングの香りがますます芳しくなってきて、日本語で歌っていても一体ここがどこの国なのか分からなくなります。音楽で旅する感覚、僕はすこぶる気持ちいいのです。あと、そうだ、この日の午前中にイールズのライヴDVD『EELS WITH STRINGS: LIVE AT TOWN HALL』が我が家に届きすぐさま観まして、弦楽四重奏を従えた美しくも物憂げでどこか奇妙な素晴らしいライヴでえらく感動したのですが、マリ子さんのライヴはそれとは編成も楽器も違うんですけど表現の奥底で何か通ずるものを感じました。マリ子さん、こんなに素敵なんだからいきなりライヴ盤出しちゃうのも面白いのでは?なんて思ってみたり、ていうか、僕が聴きたいだけなんですけどね(いや、みんなも聴きたいはず!)。また近いうちに関西に歌いに来てくださいね、お待ちしております。

そして最後は、マリ子さん曰く真打、西村哲也さんの登場です。当ブログでもすっかりお馴染み(!?)京都が誇る素晴らしい歌心を持つシンガーソングライター&ギタリストの西村さんですが、僕がライブを観るのは先にも言った昨年末の拾得以来、非常に楽しみにしておりました。その拾得もかなりアットホームな空間ではあるのですが、今回の「はちはち」はさらに輪をかけてアットホーム、ていうかまさにAt Homeなんで、身も心もゆるゆる状態で楽しまさせていただきました。そういえば、西村さんのMCもいつもより一層ゆるゆるだったような気がします(笑)。前回同様、西村さん一人でアコギ弾き語り、今回もファンキーなブルースハープが唸る「幸せな人生」からスタートしました。京都のシャイなボブ・ディラン、やっぱり最高です。どうやらその場で演奏する曲目を決めていく方式だったみたいですが、次から次へとさりげなく名曲のオンパレード、新曲「グレートフル・ハウス・リミテッド」「キャンディ」も絶品なのです(早く新作聴きたい!)。いやぁホント、今回改めて西村さんの描くメロディーが歌が僕はホント大好きなんだぁと実感しました、ひょっとすると一番ツボなのかもしれないと。当然ポップなんですけど、どこか切なくて、どこか哀愁があって、どこか渋みのある、コクのあるメロディーとでも言うんでしょうかね、スーッと僕の心に染み渡るんですよ。やっぱり僕と顔が似てるから、ツボも一緒なんでしょうか、なんて(笑)。あのう、僕は斉藤哲夫さんの『グッド・タイム・ミュージック』が相当好きみたいで、ここ1ヶ月くらい毎朝のお目覚めBGMだったりするんですが、そう言えば、西村さんのメロディーの雰囲気って哲夫さんに近いかも、と今ふと思いました(哲也と哲夫だし)。で、ライブの話に戻りますが、「錆び付いた道具箱」という曲では先ほどの藤井貴子さんがリードボーカルで歌ってくれまして(お客さんのコーラス付き)、これがまた愛に溢れてすごくいい感じでした。貴子さんは西村さんの大ファンで、アルバム7枚全部持ってる、とおっしゃってましたが、「錆び付いた道具箱」はその中でも一番のお気に入りだそうで(僕も大好き!)、きっと貴子さんにとっての鼻歌だったんだろうなと思うくらい自然でした。あ、そういえば、最後の「オーベイビィ!」では、居間の外から女性コーラスが聞こえてきたんですけど、あれも貴子さんだったんでしょうか。なんだか幸せな気分でした。

大きな会場でバカデカイ音とグルーヴを全身に浴びて踊り狂うというライヴも楽しいですが、今日のような肩の力を抜いてごくごく自然に音や歌に寄り添っていけるライヴというのも自分にとってはすごく大切なんだなぁと再認識しました。心地好い時間をどうもありがとう、またヨロシク!

※「はちはち Infinity Cafe」については、ここらへんが詳しいかと・・・
http://kata.wablog.com/574.html
http://www.paw.hi-ho.ne.jp/browns_cafe/kyoto32.htm
※藤井貴子さんの日記にライブ写真があります(くぅ、微妙に写ってない・・・左下隅のビールは僕が飲んだのです)
http://swimdiary.exblog.jp/
by kesuike6 | 2006-05-02 01:32 | LIVE
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