音楽感謝~unplugged~
直枝政広/二階堂和美(guest:渋谷毅)/チョウ・ヒョンレ
2006/06/11(Sun)@京都・拾得
START 19:00

もうすっかり京都の風物詩となりつつある素晴らしき歌心を持ったロックイベント音楽感謝に行ってきた。前回は京都クラブメトロでラリーパパ&カーネギーママ、カーネーション、鈴木祥子&カーネーションというメンツで骨太バンドサウンドをガッツリという感じだったが、今回は会場を拾得に移しチョウ・ヒョンレ、二階堂和美、直枝政広という顔ぶれ一転してアコースティックギター弾き語りを心地良くしっとりと・・・なんて、とんでもない!心地良くしっとりだって!?そんなわけない。これだけ一癖も二癖も三癖もある個性的なシンガーが揃って、しかも、楽器はギターと歌声のみの素っ裸状態、何かもう三人それぞれのミュージシャン力というよりもむしろ人間力を見せつけられているというか、あまりの濃厚さに前回よりも演奏時間は短かったはずだしずっと椅子に座りながら観ていたにも関わらず体力の消耗度は史上最高だった。もちろん、その主犯格は直枝さんだったわけだが・・・。



トップバッターは、ラリーパパ&カーネギーママの趙さん。髪も短くなってポロシャツでえらい爽やかやなぁという印象の趙さん、登場後いきなりいつもの飄々としたユニークな語り口で戦争について喋り始める、しかも、延々と続くものだから、ひょっとしてこのまま歌わないで漫談をして帰ってしまうのではないかと少し不安になったけど、もちろん歌ってくれた。ジェフ・マルダーや70年代のファンクバンド(バンド名忘れた・・・)のカヴァー曲を混ぜ込みつつオリジナルはソロ曲のみの演奏、ラリーパパでの泥臭さみたいなものはそれほど感じられず、程よく肩の力が抜けた素朴な人間味のある小気味いいポップソングが次から次へと(まるでジョン・セバスチャンみたい!)。渋いようで清々しい穏やかな歌声と味のあるギター演奏、じんわり身体の芯が温かくなる素敵なパフォーマンスだった。

2番手は、広島からお越しの二階堂和美さん。ニカさんの歌はCDでいくつか聴いていたけどライヴを観るのは今回が初めて、密かに一番楽しみにしていた。僕はCDを聴いた時点で直感的にきっとライヴはもっと凄いに違いないと確信していたのだけど、やはり凄かった。時に早口になったり時にスローになったりメロディーの起伏激しく自由奔放、不規則なリズムに乗ってステージ上を裸足で縦横無尽に動き回り、顔面表情は刻々としかも限界ギリギリまで極端に変化、何かもう頭のてっぺんからつま先まで身体全体全神経全細胞を使って歌っている、とにかく強烈。ニカさんのパフォーマンスが外国人にウけるのも非常によく分かる。そんなこんなで、いやぁ凄いもん観てしまったなぁと呆気に取られていると、ではゲストを紹介します、と招き入れられたのが、なんとあの渋谷毅さん!あまりにも有名なジャズピアニストの登場で僕はもうびっくり仰天大興奮、そこからはニカさんをチラ見しつつ僕の目は渋谷さんに釘付け。渋谷さんは白シャツにジーンズというラフな出で立ちだったのだけど、ピアノを弾く姿も恐ろしいくらいラフで、ひょっとして適当に弾いているんじゃないか?と思ってしまうほど。にも関わらず、ピアノから飛び出てくるフレーズは絶妙でニカさん独特のリズム感にもしっかり寄り添っているのだから凄まじい。粋というのはこういうことを言うのだなぁ、格好良い。

そして、トリを務めるのはもはや音楽感謝の顔とも言うべきカーネーション直枝兄貴。僕にとっては昨年11月の御堂筋横断以来約7ヶ月ぶりに観る直枝さんなのだけど、ライヴが始まる前は、あまりに久しぶりだったということと先ほどのニカさん&渋谷さんの感動ものアクトの後で果たして大丈夫なのだろうか?しかも、今回はエレキじゃないしなぁ・・・などと正直心配していた。が、しかし!ライヴ開始後ものの数秒で大反省することになる、心から謝ります、直枝さんゴメンなさい。弾き語りでの直枝さんの歌声はバンドの時よりも強度が倍増し、その声に対抗するには爆音エレクトリックギターじゃないといけないと僕は思い込んでいたわけだけど、直枝さんがかき鳴らすアコースティックギターは何とエレキ以上に爆音だったのだ!なんたって、アコギの音で耳が劈かれるんだから!そんな風にギターがますます強力に鳴り響いていると言うことは、当然歌声もとんでもないことになっているわけで、凄いを遥か通り越して凄絶、まさに死闘というべき熱唱。これだけ目に見えて身を削って歌っている人を僕は他に知らないし、それこそボブ・ディランやニール・ヤングのようなロック偉人たちと同じ地平にいると本気で思う。そしてまた、直枝政広というシンガーが途轍もないのはどれだけテンションが上がっても徹底的に歌うということ。例えば、サンボマスターなら限界を超えてガナってしまうところでも直枝さんはしっかり歌う、それがもう感動的でグッときて仕方が無いのだ。とは言っても、正直、あの曲のここがこう良かったとか細かなことは全くと言ってもいいほど覚えていないし、そんなことはどうだっていいようなパフォーマンスというか、とにかくあの巨大な魂の塊のような歌を全身に浴びたということが自分にとって大事件だった。

 b0061611_164317.jpg1.A Dream Goes On Forever 【Todd Rundgren】
 2.幻想列車
 3.ハイウェイ・ソング
 4.オフィーリア 【新曲】
 5.ラッキー・オールド・サン 【久保田麻琴と夕焼け楽団】
 6.やるせなく果てしなく
 7.JUICY LUCY
 8.ANGEL
 en1-1.ダイアモンド・ベイ

 en2-1.あの日どこかで
 en2-2.PARADISE EXPRESS

おそらく直枝さんの頭の中では持ち時間が1時間ちょっとでアンコール含め全9曲という計画、マラソンで例えるなら9曲で42.195km走り切るつもりで全身全霊を込めて歌い、「ダイアモンド・ベイ」で何とか無事にゴールテープを切ったのだけど、どうやらあと15分残っていたらしくお客さんもやっぱりもっと聴きたいわけで、2度目のアンコールに応えて急遽2曲演奏してくれた。が、ゴールテープを切った瞬間脱水症状でフラフラになってぶっ倒れるマラソンランナーのごとく体力の限界を超えていた直枝さんの演奏もフラフラだった。僕も最初はまだ聴けると思って嬉しかったけど、直枝さんの満身創痍ぶりを観ているとだんだん辛くなったり・・・直枝さん本当にお疲れ様です、プロ根性を見させて頂きました。大好きな久保田麻琴と夕焼け楽団「ラッキー・オールド・サン」は拾得だし(素晴らしい日本語詞を付けたのが拾得のマスターであるテリーさん)絶対に歌ってくれるとは思っていたけど、実際に歌ってくれるとやっぱり嬉しかったし、直枝さんの歌う「ラッキー・オールド・サン」がまた目に沁みて堪らない。拾得の音の素晴らしさをテリーさんに向かってしきりに口にする直枝さんも印象的だった。あと、新曲「オフィーリア」は直枝さん曰く「ANGEL」の続編のような楽曲になったそうだが、確かに「ANGEL」ライクな高揚感溢れるロマンチック街道一直線の超名曲、またしてもカーネーションの代表曲誕生!マジで凄いぞカーネーション!

最後に、音楽感謝にまたしても大感謝です。
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by kesuike6 | 2006-06-12 16:31 | LIVE
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