佐野元春『THE SUN』
b0061611_11334526.jpg佐野元春の約5年ぶりのニューアルバム『THE SUN』を遅ればせながら今聴いている。聴きまくっている。聴かざるをえない。いや、もう一言、素晴らしすぎる。泣けるほどカッコイイ。

優しくて、あったかくて、肩の力が抜けていて、でも、強くて。希望と愛に満ち溢れ、でも、無性に切ない。佐野元春という人の人間力が嘘偽りなくそのままパッケージされた、そんな作品だ。ボクは佐野さんに会ったことはないが、きっとそうなんだと思う。そう思わせる何かがある。伝わってくる。何よりも誠実な音楽。こういう本物の音楽に出会えて、心から嬉しい。

その鋭い実験的精神ゆえに見過ごされがちだが、実は佐野さんは優れたメロディーメイカーなのである。この作品を聴いてますますその思いを強くした。全14曲あまりにもポップで親しみやすい、かといって、すぐに色褪せる安っぽいメロディーでは決してない。そこには時代を軽々超えていく普遍性がきちんと存在している。10年後もきっと「君の魂 大事な魂」を思わず口ずさんでいるのだろう。そんな素敵なメロディーを支えるホーボーキングバンドの演奏も実に元春愛&音楽愛に溢れていて素晴らしい。良いメロディー、良い歌、良い演奏、良いサウンド、この作品ではそんな当たり前のことが当たり前に、しかもちょっと余裕を持って実践されている。いやはや参りました。

・・・9.11以降残されたのはただ無力感のみ。それでも、生きていかなければならない。それならば、しっかりと足元を見つめて日常をしっかりと生きていこう。きっとそういうことなんだと思います。“夢を見る力をもっと”。

この作品を聴いて、真っ先に思い出したのが昨年発表されたカーネーションの大傑作『LIVING/LOVING』。両者ともいろいろゴタゴタがあった後、新たな出発として発表された作品だということもあるし、音楽的にはよりシンプルにメロディーと歌の力を信じようとする原点回帰とも言える精神性が共通しているような気がします。佐野さんは今年で48歳、カーネーションの直枝さんがもうすぐ45歳、キャリアのある大御所と呼ばれそうな人たちがこんなにも瑞々しい作品を出してくれるのは個人的にすごく嬉しい。佐野さん流に言うと、つまらない大人になりたくない、と思っていたのは昔のことで、今は、ヤンチャ心と優しさを持って大人になれるのならば大人になるのも悪くない、と思っています。そう思わせてくれたのは佐野さんや直枝さんのような偉大な人生の先輩が頑張ってくれているからです。いや、ホント尊敬してるんですよ。

元春世代のみならず、いろんな世代の人たちに聴いて欲しいし届く作品です。どーせなら良い音楽を聴きましょう。
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by kesuike6 | 2004-08-18 11:31 | ALBUM(SINGLE)
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