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カーネーション 「Edo River」('94)
カーネーション 「Edo River」(\'94)_b0061611_1212072.jpg曲を言葉で説明するときに、イギリスっぽい、アメリカっぽい、ビートルズっぽい、とか、あるいはもっと細かく、ロック、パンク、R&B、ソウル、ファンク、ブルース、フォーク、テクノ、スカ、レゲエ、ヒップホップ、昭和歌謡なんていう音楽用語を使いますよね。で、それでほとんどの曲はカバーできるのだけど、ごくたまにそのような音楽用語が全く無力になることがあって。それがこのカーネーションの「Edo River」という曲なんです。どう言葉を捻り出しても説明できない、でも、ものすごい曲であることは分かる、そんな稀代の名曲。ボクが音楽を真剣に聴き始めてから、“衝撃を受ける”という経験をしたのはこの曲が初めてかもしれない。

小気味いい軽快なピアノのイントロからしてすでに名曲の匂いがプンプンするのだけど、ブレイクビーツのようなシャープなドラムビートとは対照的な直枝さんのラップっぽい語りのような気だるい歌が何とも心地よく、浮遊感漂う大野由美子さん(バッファロー・ドーター)のムーグとコーラスが彩りを添えたりと、一つ一つのパーツがこれ以上ない形で溶け合っている。ボクは江戸川を見たことはないし、果たしてそのイメージが合っているのか分からないけど、音像だけでも緩やかにリズムよく流れる江戸川がくっきりと目に浮かぶ。

ああ 東京から少しはなれたところにすみはじめて

何度も繰り返されるこの印象的なフレーズは、良くも悪くもカーネーションの立ち位置を表わしているような気がする。東京、即ち、メインストリームとすれば、カーネーションは常にその少しはなれたところを走っている。カーネーションの音楽に心底惚れ込んでいるファンにとっては、そのような佇まいにもどかしく思うこともしばしばだが、そのもどかしさがカーネーションの魅力であることもファンは十分知っている。東京にすまない、すめない、そのトホホ感(笑)がボクのような何てことない普通のありふれた人間にすごくリアルに響いてくる。カーネーションの音楽はホントに人間らしい音楽だと思う。その時々の勢いや迷いがそのまま音楽に出ている。その人間臭さゆえに、カーネーションの虜になったファンは、飽きもせずしぶとく聴き続けているのだと思う。カーネーションが大したヒットもしてないのに20年以上も活動を続けてこれたのは根強いファンの支えがあったのはもちろんだけど、それ以前にやはりいったん掴んだファンを離さないその優れた音楽性があってこそである。当たり前のことだけど、それって難しいことだし、スゴイことだと思う。

たまにはさかさまに世界をみてみよう

この言葉に影響を受けたボクは随分と捻くれた人間になってしまいました(笑)。
by kesuike6 | 2004-10-28 12:10 | CARNATION
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