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西岡恭蔵とカリブの嵐 『'77.9.9 京都「磔磔」』('77)
ここ最近めっきり寒くなってきました、ついに冬到来ですね。なので休日のたびに我が家の夕食は鍋、と言ってもそんな豪勢なものではなく、白菜に豆腐に油揚げにウインナーに発泡酒という何とも貧相な500円鍋なのですが、それでも十分最高に幸せな気分になれるのだから冬に鍋って偉大だなと思う今日この頃、いや、単に僕が安上がりなだけか・・・。ともかく、寒風に吹かれ身体は冷え切り鼻水が止まらなくても、せめて心だけはほんわか温かくしておきたいものです。

西岡恭蔵とカリブの嵐 『\'77.9.9 京都「磔磔」』(\'77)_b0061611_162513.jpgそれにはこんな素敵なライヴアルバムなんてどうでしょう。西岡恭蔵とカリブの嵐『'77.9.9 京都「磔磔」』、確実に心の芯までポカポカにしてくれます。つい先日、久しぶりに覘いた元町の老舗レコード屋さんにこのLPが壁面に飾られていて、それを見た瞬間「これや!」神のお告げ、吸い寄せられるようにレジに持って行きました。足早に帰宅後、早速レコードに針を落とせば、そこからは実に心地好く味わい深い歌と演奏と空気が・・・すっかり心奪われました。そして、何度も何度も繰り返し聴きながら調べてみると、どうやら未発表テイクやMC含めライヴを完全収録した2枚組CDが出ているらしいことを知り、その日のうちに注文したのでした。

そのタイトルの通り、1977年9月9日に京都の酒蔵を改造した名ライヴハウス磔磔で行われた西岡恭蔵とカリブの嵐のライヴ。全24曲弾き語りとバンド演奏とを織り交ぜたニ部構成になっていて、第一部は「サーカスにはピエロが」や「プカプカ」と言ったお馴染みのナンバーを第二部は当時の最新作『南米旅行』からの曲を中心に選曲されています。言うまでもなく、とにかくどの歌も名曲ばかり。やわらかで明るくてでもどこか切ないメロディーは、恭蔵さんの穏やかな小林旭といった風情の大らかでいなせで優しい歌声と折り重なって、僕の心にじんわり響き、気が付けば幸せ気分に浸りながらホロリと泣いています。そしてまた、そんな恭蔵さんのええ歌をさらにふくよかにする歌心溢れるカリブの嵐の演奏がホントに本当に素晴らしくて(涙)。そのカリブの嵐とは、林敏明(Drums&Conga:ハックル・バック、小坂忠とウルトラetc)、山本正明(Bass:小坂忠とウルトラetc)、難波正司(Piano&Organ:アイドル・ワイルド・サウスetc)、国府輝幸(Piano:ソー・バッド・レビューetc)、洪栄龍(Electric Guitar:DEW、乱魔堂etc)という70年代に想いを寄せる僕にとってはもう夢のようなバンド、どうやらこの日の為だけに結集したバンドのようですが、皆の息はピッタリ押し引き具合も絶妙でゆったりと気持ちのいいグルーヴを聞かせてくれます。

ハイライトは、LPではB面ラストの「Gypsy Song」。「・・・できれば、あのジプシー達のように、全く何も身にまとわずに、ブラブラブラブラと、世界各国歌を書きながら旅出来たら、もう私の一生はそれでいいような気がするんですけど・・・」という泣かせるMCに続き始まる、感動的な名曲、感動的な演奏です。洪さんのカーティス・メイフィールドばりのトロけるワウワウギター、林さんの激しく胸を撃つ力強いドラム、恭蔵さんの精一杯声を振り絞る熱き歌唱に僕は大粒の涙。大袈裟でも何でもなく、僕の人生の大切な歌のひとつになりました。

ライヴはそのミュージシャンの裸の音楽性と同時にその奥に潜む人間性にリアルにダイレクトに触れる機会であると思うのですが、僕の場合、とりわけその人間性というのがより重要らしく、つまり、そのライヴが肌に合うか合わないかの最終的な決め手は人間性なのかもしれないなどとライヴを観るたびに強く感じます。そういう意味でも、このライヴ盤はグッときて仕方がないのです。恭蔵さんとカリブの嵐の面々はもちろんお客さん含め磔磔にいる全ての人が愛おしい、そんな気さえします。ホンマにええライヴです。

今日も鍋だな。
# by kesuike6 | 2006-12-02 16:05 | ALBUM(SINGLE)
Elvis Costello 『The Right Spectacle』('05)
せっかくの休日をぶち壊す腹立つ出来事があり、胃の中ムカムカしてます。詳しいことを書くと余計腹が立ってくるので書きませんけど、あームカツク・・・うぅーいけない、いけない、気分転換、気分転換。でも、やっぱりパンクな気分。

Elvis Costello 『The Right Spectacle』(\'05)_b0061611_2346953.jpg昨日、またもどうしょうもない衝動に急に駆られ、エルヴィス・コステロのPV集&発掘TVライブ集DVD『The Right Spectacle:The Very Best Of Elvis Costello-The Videos』を今更買いました。秋の空のごとく僕の音楽気分はころころと変わり、今はコステロ一色なのです。

さて、偉大なる捻くれメガネロッカー・コステロのPVですが、後期の作品はさすがにちゃんと観れますが、初期は時代が時代なのと予算が無いので出来はすこぶるチープでお粗末、単に酔っ払い達が適当に演奏しているだけ、やる気なしの極致コステロの膝二重関節クネクネダンスも飛び出し、僕はもう笑いが止まりませんでした。つまりは最高です。中でもお気に入りは「Oliver's Army」、ハワイのワイキキビーチでのコステロ&ジ・アトラクションズの演奏シーンでは、キーボードが持ち込めないということで、スティーヴ・ナイーヴなぜかウクレレ持たされてトホホです(この曲にウクレレの音なんて入ってないし、それ以前にハワイな曲でもない)。オーディオコメンタリーをオンにすると、PVを観ながらコステロの解説が聞けるのですが、さすがブラックユーモア溢れる粋な英国人、これがまたイカしてます。若きコステロの顔がアップになったときの第一声「こいつ誰だ?」爆笑でした。

特典のTVライブ集がまたスゴイ。コステロは70年代後半UKパンクシーン出身だそうで、僕はいまいちピンときていなかったのですが、この当時のライブ映像を観ているとなるほど尖ってるなぁと感じました、もちろんパンクという一言では片付けられない音楽性ですけどね。どれも興味深くて楽しめますが、特に83年のThe Tubeの映像が素敵で、「Shipbuilding」をムーディーにキめてくれてるのが嬉しいし、何よりコステロ&ジ・アトラクション+ブラス隊+女性コーラスという計10人編成大所帯バンドの演奏がゴージャスでめちゃくちゃカッコイイ!感動的!そして、この編成はROCK LOVEとほぼ同じということに気付き、わあーこんな感じになっちゃうのかーと想像してムラムラしてきました・・・嗚呼、無駄なムラムラ。

やるせなく果てしない暑苦しく色気ある熱唱とロック魂、絶妙にねじくれたポップセンスに溢れんばかりの音楽的好奇心、そして偏執狂的音楽愛、僕にとってコステロは直枝さんと最も印象がダブる外国人ロッカーなのですが、いまいち賛同が得られません。直枝さんの凸凹な歯並びとコステロのスキッ歯ってとこなんかも兄弟みたいなんだけどな(怒られる)。
# by kesuike6 | 2006-11-23 00:09 | DVD
ネタ探し中
あまりに更新が滞っているので(汗)、とりあえずここ最近のmixi日記でお楽しみください。

11月19日 幕末太陽傳
ネタ探し中_b0061611_21591318.jpg前からどうしても欲しかったDVD、川島雄三監督『幕末太陽傳』コレクターズ・エディションを勢いで買う。1957年の日活映画、鬼才川島雄三監督の代表作であり日本映画史上にも燦然と輝く大傑作である。なんて堅苦しい紹介は置いといて、とにかく途轍もなくエネルギッシュで粋で楽しい映画だ。

時は幕末文久二年、品川の遊郭「相模屋」で巻き起こる痛快ドタバタコメディ。ストーリーは主に古典落語「居残り佐平次」をベースに、さらに「品川心中」「三枚起請」など様々な落語をサンプリングしているそうで、もちろん落語に詳しい人の方がより楽しめるのだろうけど、落語に疎い僕でも十分楽しめた。というのも、出てくる役者がみな活き活きしていて躍動感があって腕利きの芸達者で、しかも超個性的なものだから、ただ画面に映る人間を見ているだけでもウキウキしてくる。とりわけ主人公の居残り佐平次演ずるフランキー堺の緩急自在で小粋なリズム感は本当にスゴイ、さすがジャズドラマーである(太鼓の華麗なバチ回しも見れる)。他にも、間抜けな貸本屋の金造扮する小沢昭一の爆笑必至の怪演、南田洋子と左幸子の艶かしい美しさ、芦川いづみの胸キュンもののキュートさ、菅井きんの舌を巻く名脇役ぶり、そして若かりし石原裕次郎や小林旭や岡田眞澄の初々しさ(笑)、みんなしっかり演じながらもしっかり生きている。

人前では常に陽気でお調子者の佐平次だが、一人になると途端に表情が曇る。肺結核を患っており、おそらく彼自身死期が近いことを十分知っている。というように、ただ単に可笑しいだけでなく、随所に陰の要素を忍び込ませ、決して軽薄な喜劇で終わっていない。実に深い。

「ええーい!地獄も極楽もあるもんけぃ!俺ぁまだまだ生きるんでぇ!」

川島監督曰く、この作品のテーマは「積極的逃避」だそうだ。そうかぁ、なるほど。そういう意味でも、もし川島監督の思い描いたエンディング(走り去る佐平次が幕末から昭和へワープする)が実現していれば、さらに素晴らしい作品になっていたに違いないと僕は思う。

特典のオーディオコメンタリーがまた興味深かった。その中でいい話だなぁと思ったのは、川島監督にすっかりホの字になった南田洋子が、ある日監督の大好物の梅干をお土産に監督が住んでいた日活アパートを訪れると、出てきた監督の奥さんがものすごく綺麗な人だったので、それが大ショックでお土産を渡すのが精一杯アパートの階段を降りるのも大変だった、という酸っぱい思い出話。

BGM:Edo River / カーネーション
※『ロック画報24』P.35<N's Scraps 21>参照

11月18日 サッカーチームか?
ROCK LOVEがえらいことになっとります!今回はなななんと11人編成!!カーネーション+お馴染みの西池&シュンスケ+お久しぶりスリルのホーンセクション+女性コーラス隊に、そして、ななななんと長見順!!!なんといっても僕のブルースアイドルだ。東京だしどうせ行けないし敢えて我関せずなふりをしていたけど、これはさすがに・・・くそお、でも無理だ。とにかく絢爛豪華な楽しいロックパーティーになること間違いなし、5人時代の曲がいつもより多く聴けそうだし、行ける人はホント羨ましいぞ!
http://www.carnation-web.com/rocklove/

BGM:あなたのあたま / 長見順バンド
(↑DVD『ライヴ!超スローブルース』は必見!)

11月17日 注目すべきは転び方
ネタ探し中_b0061611_220122.jpg最近の愛読書、高野秀行『ワセダ三畳青春記』。約3分の1読み終えたところで、これはアカン、おもろい、おもろすぎる。お昼休みに食堂で、耳にはiPodお口にはチープで身体に悪そうなパン時々缶コーヒーという状態でこの本を読んでいるのだけど、あまりにおもろいので笑いをこらえるのに必死、それゆえ相当ヤバイ顔になっていると思う。

先週のビーバップハイヒールにゲストで出ていた秘境探検家の高野さんに妙に興味が湧き、翌日には本屋にいた。『幻獣ムベンベを追え』『巨流アマゾンを遡れ』『怪しいシンドバッド』『異国トーキョー漂流記』『ミャンマーの柳生一族』など、男の子の僕はワクワクしてしょうがないタイトルばかりだけど、ひょっとして一番の秘境は高野さん自身じゃないかと思い、彼の青春記を買うことに決めた。1966年生まれの高野さんが22歳から33歳まで(1989~2000年)過ごした、早稲田大学の正門から徒歩5分のところにあるオンボロアパート野々村荘(家賃一万二千円三畳一間風呂無し共同便所共同台所、まさに秘境)でのモラトリアムな日常生活が面白可笑しく描かれているのだけど、高野さん含め彼が所属していた早稲田探検部の部員や野々村荘の住人たち出てくる人出てくる人が皆奇人変人ばかり、でも何だか魅力的な人間ばかり(友達にはあまりなりたくないけど)で、呆れつつも心がほんわか温かくなる。世の中にはいろんな人間が生きてるんやなぁと思うと(笑)、ちょっと勇気が出てきたりもする。子供たちよ、やっぱり生きてた方がおもろいで。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087476324/

今度は今日から3連休、さあて何をしようか?とりあえず、寝よ。

BGM:100人中99人 / コモンビル
(↑ここんとこコモンビルが目に沁みてます、ええわぁ)

11月13日 鼻紙
ご無沙汰してます、お元気ですか?僕は鼻水が止まりません、側にはティッシュの山がそびえ立っています。先月末から某制度導入のせいでハードスケジュール化、ようやくそれも落ち着いたところで、風邪ですか、そうですか。そりゃあ疲れが出ますわな、普通の人間ですから。今日明日と久しぶりの連休ですが、たぶんぼんやり過ごすのでしょう、ていうか、過ごしてます。

二度寝三度寝の結果、目覚めたのが昼の1時過ぎ、ごきげんよう終盤戦・・・。野放図に散らかった部屋を少し片付け、レコードが聴き易くなったので、LPを数枚片面だけ聴きました。トラフィック『ジョン・バーレイコーン~』A面、カーネーション『ラブスカⅡ』B面、伊藤銀次『デッドリー・ドライヴ』A面だったかな。それにしても「OH MY GOD!」はなぜゆえラブスカから外されたのか?かなり好きな曲なんですけどね。関西のゆるい番組ちちんぷいぷいを観る、角さん面白いですが、僕は八木早希アナのファンです。ブラインドサッカー凄いの一言、日本代表頑張ってもらいたい。2年前くらいにNHKでやっていた『ピーター・バラカン音楽紀行』を観返す、ロンサム・ストリングスの演奏感動的に素晴らしいので、MDに録音し何度も聴く(このテイク、雨音や鳥のさえずりも聞こえてきて素敵)。近くのスーパーに夕飯の買出し帰宅後、すぐに夕飯。でもって、睡眠に最適ニール・ヤング『オン・ザ・ビーチ』を流しながら1時間ほど夕寝。そして、このどうでもいい日記を書いていると。

BGM:Jessica / Lonesome Strings
↑桜井芳樹さんも太田和彦の全国居酒屋紀行のファンだったのですね、嬉しい。飲兵衛にとっては最高の癒し番組ですから。

10月23日 PORK PIE HATS@はちはち
というわけで行ってまいりました、はちはち。あ、ご心配なく、前回の反省を猛烈に生かして、実にスムーズに辿りつけました。ていうか、あまりにスムーズだったので、早く着きすぎてしまい、なんだか中からリハの音が漏れ聞こえてくるし、これじゃあんまりだと適当にその辺をブラブラ散歩して時間を潰す始末でした。そんなこんなで到着したのは開始30分前、先客は若いカップル1組(結局お客さん10人ちょっとくらいだったでしょうか)。今日は随分久しぶりに知ってる人が誰もいなかったので、ライブ始まるまでやや緊張気味落ち着かない感じ、隣の楽しげにお喋りするカップルにけっこう嫉妬しつつ、とてつもなく旨いパンをビールで流し込むことで何とか凌ぎました。トイレから戻ってくると、直前まで居なかったはずの西村さんがスタンバイしていてビックリ。ライブがおもむろに始まりました。最初は西村さん単独で5曲アコギ弾き語り、その後ベース中島さんとキーボード大前さんが加わりポーク・パイ・ハッツでグルーヴィーに計1時間半、いい曲満載、ゆるいMC満載、ヒジョーにキモチええライブでした。前回のアバンギルドで強く印象に残っていた西村さんにしては異色作なめちゃくちゃファンキーなナンバーは「ひまわり」という新曲でした、もちろんアコースティックでもめちゃくちゃファンキー。グレイトフルデッドばりに怪しくジャムって始まる「スノーバード」痺れたぁ。「Hey Hey」やっぱり盛り上がるなぁ、聴いたことあろうがなかろうが誰だって瞬時に熱くなる、もぉ最高!大前チズルさんボーカルではっぴいえんど「風をあつめて」のカヴァーとても良かったですが、その時のMCで西村さん「はっぴいえんどは中学の頃にすごく流行ってて、みんな聴いてたんですけど、僕は四人囃子に夢中で、はっぴいえんどには全然興味なかったです」(笑)。ポーク・パイ・ハッツを結成するきっかけの一つに、西院ミュージックフェスティバルに出たい(http://saifes.dip.jp/index.php)、というのがあったらしく、実際音源を実行委員に送ったそうですが、なんと落選したとのこと(笑)「僕らそれなりにキャリアあるんですけどねぇ。ルックスが悪かったんですかね?」「いやぁでも、写真送ってないしなぁ・・・。」どこのどいつや実行委員!と怒りたくなるほどポーク・パイ・ハッツええバンドです。まさか拾得でワンマンライブが出来る日が来るなんて・・・感無量です、としみじみ語っていた西村さん、12月8日は皆さん是非絶対に来て下さい!絶対に行きます。

BGM:Snowbird / PORK PIE HATS
# by kesuike6 | 2006-11-20 22:07 | 日々想ふ
黄昏てロック
黄昏てロック_b0061611_21583362.jpgA-1.A Dream Goes On Forever / カーネーション
A-2.Right About Now / Ron Sexsmith
A-3.そして流れる / 福岡史朗
A-4.夕方 / コモンビル
A-5.キッチン・ミュージック / 西村哲也

B-1.Box Of Rain / Grateful Dead
B-2.土手の向こうに / はちみつぱい
B-3.Hey Mister, That’s Me Up On The
     Jukebox / James Taylor
B-4.夕暮れのワルツ / ヨシンバ
B-5.たそがれのメイク・ラブ・カンパニー / 久保田麻琴と夕焼け楽団
# by kesuike6 | 2006-11-09 22:11 | 気まぐれカセット
日々レコード2
日々レコード2_b0061611_2022851.jpgQ列車で行こう、線路は続くよどこまでも・・・。

NRBQ 『NRBQ』('69・アメリカ盤LP)
・・・NRBQの記念すべき1stアルバム。当時は5人組だったので、NRBQのQはカルテットではなくクインテットの略。A面頭のエディ・コクランからサン・ラへという破天荒な流れ、この頃からQはQだった。基本的に60年代らしくビートの効いた痛快で活きのいいロックンロール集ではあるけれど、スティーヴ・ファーガソンのヒリヒリとしたギターの音色のせいなのかどこか物憂げでもあり。変ちくりんだけど妙にクセになる「Ida」やスティーヴのちょっぴり情けない小曲群もお気に入りだけど、最高に素敵なのはテリー・アダムス作の「Stay With Me」!ロンサムなピアノの響き、調子っぱずれなボーカルにラララ大合唱、切な過ぎてハンカチ何枚あっても足りません。カーネーション「I Want You」のルーツはこの曲にあるのかもしれないと思ったり。

NRBQ 『All Hopped Up』('77・アメリカ盤LP)
・・・5thアルバム。ドラムにトム・アルドリーノが加入、Q黄金期第1作目となる作品ですが、こりゃあもう大傑作!大大大好き!敢えて例えるなら、スウィンギーな中期ビートルズといった感じでしょうか、これでもかと次から次へと僕のポップのツボを的確についてきて、いやはや参っちゃいます。アル・アンダーソン作「Ridin’ In My Car」はポップの魔法を信じる人たち皆とびっきりの笑顔になってしまう超名曲ですが、僕は「It Feels Good」「Cecilia」「Doctor’s Wind」「Things To You」「Queen Talk」「That’s Alright」あたりが大好物です(て、ほとんど全部やん)。これは墓場にまで持って行きたいレコードです。ちなみに、僕が買ったLPはオリジナル盤ではないので曲順が相当変わってるのですが、こっちの方がオリジナルより流れがいいような気がする、なんて負け惜しみを言っておきます。

NRBQ 『Kick Me Hard』('79・アメリカ盤LP)
・・・7thアルバム。『Kick Me Hard』と言えば、カネマニア的には「なにかきみの大切なものくれるかい」ですかね。Qのレコードはどれも節操無くあらゆるジャンルの音楽を取り込んだごった煮アルバムですが、これはその極めつけと言った感じでしょうか、文句無く楽しいです。僕のお気に入りは、しゃがれたアルのボーカルがイカすレゲエ調の「It Was A Accident」、なんてことない曲なのにブラス隊が絡んだ途端めちゃくちゃカッコ良くなる「I Want To Show You」、ソウルフルな熱唱とトリッキーなギターソロとピアノソロの掛け合いが素晴らしい「Don’t You Know」、本気ジャズな「Tenderly」など。・・・ていうか僕が買ったLP、ありゃ?「Wacky Tobacky」が入ってない!確実に裏ジャケットにはA面1曲目にそのタイトルが載っているのだけど、聞こえてくるのは2曲目の「Don’t She Look Good」、しかも、4曲目には本来B面4曲目の「Don’t You Know」が、そして、そのB面4曲目にはどうでもいい謎の曲が入っていて・・・汗。ひょっとして、「Wacky Tobacky」がドラッグを歌ってる曲なので、セカンドプレス以降カットされたのかなぁなんて考えるのですが、どうなんでしょうか?

NRBQ and the Whole Wheat Horns with special guest John Sebastian
『Live at the Wax Museum』('03・日本盤CD)
・・・超ミラクルな発掘ライヴ盤、82年にワシントンのワックス・ミュージアムで行われたショウを収録したもの。何と言ってもポップの魔法を信じるロマンチスト代表ジョン・セバスチャンと黄金期のQの共演ライヴだよ、そんなの最高に決まってるじゃない!まるで夢の中にいるような一時、僕ぁ幸せだなぁ。「心に決めたかい?」「ラヴィン・ユー」「うれしいあの娘」「魔法を信じるかい?」「ダーリング」言わずもがな後半のジョンとQとのセッションが一番の聴きどころ泣きどころだけど、序盤のQ単独のパフォーマンスもこれまたとんでもなく良いのです。頭のゴキゲンでファンキーなカヴァー3連発はいつ聴いてもウキウキするし、耳からこびりついて離れない奇妙なインスト「Tragic Magic」やモータウン・スタンダード「My Girl」が聴けるのもめちゃくちゃ嬉しい。こんなライヴが体験できたら死んでも悔いは無いなと思えるような大切なレコード(記録)。ありがとう。

Bonnie Raitt 『Green Light』('82・アメリカ盤LP)
・・・なんだQじゃないやん!おっと、それはとんだ早とちり。このボニー・レイトのレコードにはQのカヴァーが2曲しっかりと収録されております(「Me And The Boys」「Green Lights」)。どちらもQに負けず劣らずゴキゲンにロックンロールしてます。バックバンドはフェイセズのイアン・マクレガン率いるバンプ・バンド、小原礼がブイブイとベース弾いてます。「Green Lights」でのボニーのスライドギターソロが最高!

Jesse Colin Young 『Together』('72・アメリカ盤LP)
・・・ここ最近のお目覚めレコード。ヤングブラッズまともに聴いたことないのですが、ジェシ・コリン・ヤングは名前の響きなのか何故か妙に気になって、レコード屋さんに行く度に必ず彼のLPを手に取っていました(そして、戻すという日々)。それで先日、いつものレコード屋さんにいつものように行くと、このLPが面出しで飾られていて、その割には値段も安かったし、適当なイラストのジャケットにも惹かれたので、ボニーのLPと一緒に買いました。どことなくジェームス・テイラーにも通じる陽だまりフォーキー・ソウル、こういうのはやっぱりどうしても好きですねぇ。

The Rutles 『All You Need Is Cash(4人もアイドル!)』('05・日本盤DVD)
・・・ビートルズの歴史をまるごとパロディ化した愛と笑いのテレビ映画('78)。タワレコのポイントカードが貯まったのでDVDを一枚、ということで直枝さんがライナーを書いているQのライヴDVDを買うつもりだったのだけど、念の為いろいろ物色してみるとこのDVDが目に入ってきて、そう言えば、モンティ・パイソンを研究していたUくんがビートルズ好きなら『All You Need Is Cash』は観たほうがいいよと言っていたことを思い出して、やっぱりこっちにしようと。いやもうまさにUくんの言う通り、ホント可笑しくて素晴らしくて、テレビ画面が寂しくなるたびに観てます。細部の細部まで研究し尽くしたそのマニアックな徹底ぶり、偽物が本物を超えた!と感じる瞬間が何度もあって、僕もビートルズ大好きだけど、彼らのビートルズ愛には到底かなわないです。だからこそ、ミック・ジャガーやポール・サイモンがあんなに大真面目(爆笑)にラトルズについて語り、おまけに本物のジョージ・ハリスンがチョイ役で出ちゃってるのでしょう(爆笑)。でも、よくよく考えてみれば、当のビートルズも偽物が本物を超えちゃったようなバンドですよね。
*ザ・ラトルズの詳細が知りたい方はこちら

Lonesome Strings 『CANDELA』('06・日本盤CD)
・・・ムーンライダーズも大変気になりますが、『DEADLINES』以来久しぶりに聴いた新譜はこれでした。昨日買ったばかりなので、まだまだ聴き込む必要はありますが、それでもめちゃくちゃスゴイです。激しくロックです。このレコードを聴けば、途端にどこの国だって行ける、そんな気がします。ライヴ行きそびれたのが、とにかく悔やまれます(泣)。
# by kesuike6 | 2006-11-06 20:07 | 日々レコード